個人情報の無断取得はリスクが大きい!
無許可でデータを取得する企業の事例
近年、インテントセールやABMや営業代行など企業の成長戦略としてデータ活用が注目されていますが、一部の企業が個人情報保護法に違反する形で情報収集を行っている実態があります。
LinkedIn事件
2022年、Microsoft傘下のLinkedInは、ユーザーの同意なしにプロフィールデータを収集・販売していたHiQ Labs社を提訴しました。HiQ Labs社は「パブリックデータの収集は合法」と主張しましたが、最終的に敗訴し、データ収集を中止せざるを得なくなりました。
参考情報:https://elcamy.com/blog/scraping-illegal
リクナビ事件
2019年、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就活生の同意なく内定辞退率を予測して企業に販売していたことが発覚しました。この行為は個人情報保護法違反とされ、行政処分を受けました。これにより、令和2年(2020年)改正では、個人情報の取り扱い・利用がより厳格になりました。
参考情報:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/27/news062.html
違法にデータを集めた企業の末路
法律違反により巨額の罰金や信用失墜のリスク
個人情報保護法違反は、企業に深刻な影響を及ぼします:
巨額の罰金
個人情報保護法違反の場合、最大で1億円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、EUのGDPRなど海外の法律に抵触した場合、さらに高額な制裁金が課される恐れがあります。(欧州のGDPR違反では、最大で売上の4%の制裁金が課されることがあります)
行政処分と社会的信用の失墜
個人情報保護委員会から改善命令を受けた場合、企業名が公表されます。
これにより、企業の評判は著しく低下し、顧客離れや株価下落などの二次的被害が生じる可能性があります。
損害賠償請求のリスク
個人情報漏洩により個人に損害が生じた場合、企業は損害賠償責任を負う可能性があります。
大規模な漏洩の場合、賠償総額は数億円に上ることもあります。
顧客との信頼関係が崩れる恐れ
個人情報の不適切な取り扱いは、顧客との信頼関係を根本から揺るがします:
顧客離れと売上減少
個人情報保護への取り組みが不十分だと判断された企業は、顧客からの信頼を失い、取引停止や契約解除につながる可能性があります。
ブランドイメージの毀損
個人情報の不正利用が明るみに出ると、企業のブランドイメージは著しく低下します。一度失った信頼を取り戻すには、長期間にわたる地道な努力が必要となります。
採用への悪影響
企業の評判低下は、優秀な人材の採用にも悪影響を及ぼします。コンプライアンス意識の高い人材は、個人情報保護に問題のある企業を避ける傾向があります。
まとめ
個人情報の無断取得は、一時的な利益をもたらすかもしれませんが、長期的には企業の存続を脅かす重大なリスクとなります。
法令遵守と倫理的なデータ活用こそが、持続可能な企業成長への道筋です。個人情報保護法を遵守し、透明性のある情報収集と利用を通じて、顧客との信頼関係を築き、健全な企業成長を実現するとともに、データの適切な活用を通じて産業全体をより良い方向へと導いていきましょう。
もし、インテントセールス・ABMなどを検討する場合は、その企業に以下の質問を行い、確認しましょう。
- リード情報の収集方法は?
- 個人名の情報開示の法的根拠?・・・本人の同意は?
- 個人情報収集・利用の同意した証拠の取得方法は?
- リード情報を提供するためのツールは、GDPRや日本の法律にどのように準拠していますか?
- ウェブサイト情報取得の利用規約に違反していないという証拠は?
- robots.txt で禁止されているディレクトリまたはファイルからデータを収集してますか?
- 匿名プロキシを含むプロキシを利用していますか?
- 情報収集時は、複数の IPアドレスの使用やIPアドレスを匿名化したりしていますか?
- データにアクセスするために積極的なアクション(例:利用規約に同意するためのボックスのチェック、ユーザー ID やパスワードの提供、CAPTCHA の完了、または同様の検証メカニズムの完了)をしていますか?
- スクレイピングするWebサイトは、サービスベンダーを識別して連絡を取ることができますか?
等の質問の回答を文章で提出していただいて、十分に法令順守していることを確認してください。これらの質問に回答できないサービス事業者であれば、そのサービスの導入にはリスクがあることになります。