はじめに
この手順書はセールスマンの皆さんに見込客のタイプを見分けて、面談の約束を取りつける「電話の効果的な使い方」を指導するために作られたものです。
この手順書は、電話を掛ける前の作戦
①電話をする前に何をしたらよいかを説明することから始めています。
②その後で効果的な電話をするにはどうしたらよいか、
③望み通りの約束を取りつけるにはどうしたらよいか
を詳細に述べています。
この手順書の終りに記載してある付録では、ドラマ仕立ての電話の実例を読んで評価し、後で専門家の評価と見較べてみることも試みます。
又、具体的なトレーニングとして、ロールプレイが行われます。
教室で模擬電話を掛け、あなたがフイールドに戻る時に具えて新しい技術の練習をします。
この手順書は非常に興味をもつて独習のできる自習書です。
この方法による学習は、ありきたりの手段によるものよりもぐんと効果的で、永続性があることが立証されています。
パラパラとページをめくると、「フレーム」と呼ぶ番号をつけた区分に分れているのがわかります。
各フレームには、解説と質問、及び解答又は解答の中から1つの答を選び出すための余白とがあります。
質問に対する正しい解答は次の頁の左側の欄に印刷されています。
見込客を選び、面会の約束を取りつける
諺に謂われているように「時は金なり」です。多忙で効率的活動が重要な今日のセールスマンにとって、これ以上の真実は他にありません。
セールスマンとして仕事をする時間が貴重なことはわかっています。時間はより多くの販売をするために向けられています。ですから、あなたは無駄な時間を削減し、もっと生産的なことをするのに役立ち、しかも少い時間で多くのことがやれるような近道を考えます。それによりあなたはこの手順書から時間の節約とお金を作り出す助けを見出します。
見込客を選び、面会のアポイントを取りつけるには、効果的な電話の掛け方をすることが重要で役立ちます。見込客を見分ける目的は、その見込客に直接訪問して、それに見合うだけの十分な見込があるかどうかを判断することにあります。ですから、見込客を選ぶこと自体、時間を節約する1つの過程となります。見込客を潜在顧客として見分ける特別な基準を設けることで、可成りの販売における無駄な努力を少くすることができます。
電話で見込客かどうかの判断をしておけば、客先で待つたりする無駄な時間が避けられます。決定権を持つ人と正式な折衝ができるのは確実で、製品の購入を決められない人や、信用さえされていない人と、ロビーで5分程の立話に終つてしまうことはありません。
電話で約束を取る考えは、セールスマンにとつて別に目新しいものではありません。ところが販売の成功率が非常に高いのに、実行しようとしない人がいます。電話を効果的に使う技術を適用すれば、大きな成功が約束され、その結果、あなた自身と会社にとつて非常に有益なものになります。この手順書の内容を理解する一助として、この手順書の最後に添付してある「作業手順シート」に記入することを学びます。このシートは効果的に、見込客かどうか判定し、面談のアポイントメントを取るために従うべき計画手順(ステップ)を要約して記入するのです。
この手順書の指示に従い、各ステップを記入して下さい。
この手順は①電話を掛ける前の作戦と②電話を掛けるの2つの章に分かれています。この手順書の後をめくり、参照しやすいように、シートを切りはなして下さい。「作業手順」に取りかかる手始めは、数字ⅠとⅡの線上にこの2つの章の名称を記入することです。
第Ⅰ章 電話をかける前の作戦
電話が潜在顧客を見つけるのに、極めて有効な方法であるとわかったといって、直ちに電話をかけなさいということではありません。前もって電話をかける計画をたてておかなければ、成功は「運」まかせということになってしまいます。
作戦が良ければ良い程、電話は確信的で説得力のあるものとなり、目的を達成し易くします。ですから,事前のしっかりした計画は、成功するために不可欠なのです。
この準備計画の主要目的は,販売時間の浪費を排除することです。
その結果は、あなたの製品やサービスを買ってくれそうな見込客に、努力を集中するのにもっと多くの時間を割くことができるようになります。見込客を判別して、面談の約束を獲る効果的な電話を掛けるためには事前の準備を論理的に系統立った順序で行わねばなわません。それには次のような6項目のキーとなるステツプがあります。
- 見込客を選ぶ基準を設ける
- 見込客の名簿をつくる
- 切り出し(挨拶)の言葉を準備する
- 現状を確認する質問を準備する
- 売込み文句を準備する
- アポイントをお願い言葉を用意する
この章ではこれらの重要な6ステツプを効果的に実行するにはどうしたらよいかを例証します。
フレーム1
前ページの回答
フレームの内容
あなたが売ろうとする商品やサービスの対象見込客が量的にも能力的にも小さすぎる企業や、本当に正しいマーケットでない業種・地域などへ、売るために時間をかけるのは無益なことです。 基本的な販売目標を達成するためには、誰が確実な見込客になり得るか、なり得ないかをはつきり見極める必要があります。そこで、準備計画の理論的な第1ステップは次のようになります。
ステップ1.見込客を選ぶ基準を設ける
どの会社にもそれぞれの基準があります。 たとえば、もしあなたがコンピューターを売ろうとしているなら、あなたは社員が2人で年商500万円の会社を訪ねることは時間を無駄にすることになります。 ですから、潜在顧客を見分けるためには、あなたは見込客としての最低限の事業規模の基準を設定すべきなのです。
質問
各企業には独自の基準が設けてあります。あなたの担当業種で見込客としての適格性を見分けるのに重要と思われるものをチェックしてください。
A)見込客の企業規模(見込客の経営規模がある水準以上であることが重要ですか?)
B)企業の種類(ある種の企業にのみ販売可能な製品又はサービスですか?)
C)財政状態(現金支払か信用販売するかを決めさせることが必要ですか?)
D)設備(客先に製品の在庫を収容するスベースがあるかどうか調べる必要がありますか?)
フレーム2
前ページの回答
フレーム1の解答
少くともこの中の1つは、潜在的な顧客を決める上で,大いに役立つに相違ありません。
フレームの内容
見込客が何処の誰かを知らなければ、適格かどうか判断しようがないのは当り前です。ですから、準備計画の次の段階はこれです。 ステップ2見込客の名簿をつくる
ステップ2.見込客の名簿をつくる
見込客の名簿は、勿論、取扱う製品又はサービスがどのような種類であるかによって決まります。一度、該当する分野の業種を判別しておけば、特定の業界毎に名簿をっくっていくことができます
質問
今、もしあなたが買物用の力ー卜のセールスマンだとしたら、理に叶つた市場は担当地域のスーパーマーケットです。
ところで、見込客の完全なリストを作るには何処から情報を得たらよいでしょうか?
フレーム3
前ページの回答
フレーム2の解答
・ネットでの検索や担当地域の企業別電話帳等が、おそらく最適の情報源でしょう。
・食料品業者の団体の名簿、地方商工会議所の名簿
フレームの内容
見込客を区別する基準ができ、潜在顧客の名簿ができましたので、こんどは、実際に電話をかける準備を始める段階です。
そこで
ステップ3.切り出し(挨拶)の言葉を準備する
何と言つたらよいかをよく考えないで、安易に電話を取り、見込客に話しはじめるのは間違っています。何故でしょうか。それは電話の最初の15秒か20秒が勝負どころだからです。効果的な切り出しの言葉には、次の3つの基本的な項目が含まれていなければなりません。
1.あなたの名前と会社名を明らかにする
2.あなたの電話に対して、否定的な反応を起こさないように親密な関係を作るようにする
3.見込客の注意をあなたの製品やサービスにひきつけるような関心を引く言葉を述べる
質問
次に挙げる切り出しの言葉のうち、どちらが切り出し言葉の基本3項目を含んでいますか?
A)「お早うございます。山田部長。私は日本家庭工業の鈴木と申します。実は御社が新にお隣の中央区にも支店を出されたと伺いました。本当にめでとうございます。お電話さしあげましたのは他でもありません。現在お使いのワツクスよりも、このたび私共が開発しました長持ちのする素晴しいツヤ出し材のご紹介です。きっとご関心がおありと思いましてお電話した次第です。」
B)「お早うございます。山田部長。私は日本家庭工業の鈴木と申します。現在お使いのワックスよりも長持ちする素晴しい新ツヤ出し材の実演をお見せしたいと思いお電話した次第です。
フレーム4
前ページの回答
フレーム3の解答
A)の回答例は模範的な切り出しの5項目が入つています。
B)の例は親近感を醸し出すことを忘れています。
フレームの内容
効果的な切り出しの言葉に続く重要な要素は親近感を醸し出
すことです。しばしば電話でのコールは、特に電話でのセールスコールではそうですが、聴き手が防御態勢を取る傾向があります。そのために売りにくくなります。あなたに必要なことは、相手の武装を解除し、あなたのコールに対してとるかも知れない、そっけない反応をなくすようにすることです。できる限りマイナスの反応を克服し、売り込みの口上に見込客を慣れさせるには:
1.親しみのこもった話をしなさい。
2.あなたと見込客に共通な話題を取り上げなさい。
3.相手が多忙であることを認める。
4.相手の自尊心をくすぐるようなことを言いなさい。
一旦は、和やかなムードに持ち込めば、見込客はあなたのセールストークをよく聴いてくれるようになります
質問
次に挙げる会話が親近感を強めるのにどのように役立つか、簡単に答えなさい。
A)「お宅のお店がこれまでで最高の売上げを達成なさったと知り実に感銘を受けました」
B)「お宅の御子息とうちの息子とは東京高等学校の野球部で御一緒だそうですね」
フレーム5
前ページの回答
フレーム4の解答
A)の言葉は見込客の自尊心に訴えています。
B)の言葉は謂わば2連発の効果があります。つまり、見込客とセールスマンに共通な話題を述べ、それと共に相手の自尊心にも訴えています。
フレームの内容
効果的な切り出しの言葉の第3弾は関心を引く言葉です。これは、見込客の関心をあなたの製品やサービスに集中させるのに役立ちます。この言葉を考えるに当たっては、あなたが関心のあるものに必ずしも相手が関心をもつとは限らない。
・・・・相手は異なった見解をもつている・・・・ということを忘れないようにして下さい。関心を引く言葉を作るのに、心の中では相手の立場になって作らなければなりません。
質問
印刷関係のセールスマンが見込客に電話するのに作つたと思われる3つの例があります。関心を引くと思われるのはどれですか。
A)「多くの企業様では1箇所であらゆる印刷の需要にお応えできる融通のきく、大きな印刷会社を選ばれます」
B)「私共では売上コンテストの真最中でして、もう一社獲得できれば私が1位になれるのですが」
C)「私共では新型のドイツ製カラー印刷機を採用しました。すごい高速でしかも四色刷りができます」
フレーム6
前ページの回答
フレーム5の解答
A)とC)が関心を引く良い例です。何故かと言うと見込客の注意力をサービスと顧客サービスを約束することに焦点をあわせているからです。
B)の例は落第です。
見込客はコンテストやセールスマンの成績にとんと関心がありません。
フレームの内容
さて、準備計画はいよいよ一完全に見込客を見分けるために—電話をかける段階に近づいてきました。そこで
ステップ4.実態を確認する質問を準備する
見込客が基準に当てはまっているかどうか知るための情報を手に入れるには、詳しい返事を要求するような探りを入れる質問をしなければなりません。
間接的質問
・つまりこちらが知りたいことを明らかにしてれるようなタイプの質問は大低、「誰が」「何が」「何時」「何処で」「何故」それに「どのように」で始めます。
たとえば、
「お持ちのトラック用のタイヤは、どの種類のものですか」
「予約が多いのは何時でしょうか」
質問
あなたは車の専門塗装機材を売つているものとします。あなたの主な製品は塗装を短時間に乾燥をする機械です。東京自動車修理工場に電話する計画で、基本的な見込客の選定基準は、その工場が大型車も修理を扱い、売上の2割は大型車であるということにします。2通りの実態を確認する質問を作って下さい。
A)
B)
フレーム7
前ページの回答
フレーム7の解答
あなたの解答は、完全に見込客を見分けるための事実を与えてくれるような、詳しい返答を相手に促すものになっていたに違いありません
フレームの内容
質問