【営業が汲み取るべきポイント】
① 人事部の廃止は、組織が“大胆な変革”に踏み出したサイン
人事部は通常、どの企業でも“基幹部門”であるため、その廃止は重大な方針転換を意味します。考えられる背景には、以下のような仮説があります:
背景の仮説 | 企業の意図・事情 |
---|
人事機能の外部委託(BPO) | コスト削減・効率化の推進 |
人事機能を他部門に吸収 | 経営企画、総務、事業部側への権限移譲 |
組織スリム化 | 経営再建、リストラ、経営統合の前触れ |
HRテック導入 | テクノロジーで人事業務を代替し始めた |
➡️変化が起きている企業は、営業にとって接点を持つ絶好のタイミングです。
② 山田太郎さんは“情報と人脈”を持ったキーパーソンである可能性が高い
- 廃止時の部長=その部署の最後の責任者として、人事戦略の過去・現在・未来を知る人物。
- 彼がどこに異動・再配置されるか(あるいは社外に出たか)を追いかけることで、新たな接点や案件発掘のチャンスが生まれます。
【営業が取るべき具体的行動】
ステップ1:背景を仮説立てし、自社ソリューションと照らす
「廃止=ゼロ」ではなく、「誰かが困っている」ことに目を向けるのが営業のチャンスです。
人事部が担っていた重要機能に、誰が、どのように困っているのか? を読み解いて、支援を提案しましょう。
営業上の仮説(背景・課題) | 関連するニーズ(支援テーマ) |
---|
人事業務が各部門に分散し、属人化・非効率が発生しているのでは? | 勤怠・労務管理のクラウド化 ワークフロー自動化ツール BPO(業務アウトソーシング)支援 |
社内の異動手続き・入退社手続きが煩雑になっているのでは? | 人事手続きの標準化テンプレート ペーパーレス化/電子契約サービス |
人事情報の管理がバラバラでデータ活用できない状態では? | HRデータベース統合ツール 人事分析・可視化ダッシュボード |
評価・育成制度の設計・運用がストップしているのでは? | タレントマネジメントツール 評価制度設計・運用支援コンサル |
採用業務をどこが担当するか曖昧になっているのでは? | 採用管理システム(ATS) 採用アウトソーシング支援(RPO) |
研修・教育の実施・管理が後回しになっているのでは? | 業務可視化・整理のワークショップ 社内コミュニケーション促進支援 |
ステップ2:アプローチの言語化(メール・電話・訪問トーク)
メール文面
件名: 人事部門廃止後の体制移行支援についてご提案のご連絡
本文:
〇〇様
突然のご連絡失礼いたします。〇〇株式会社の△△と申します。
このたび、貴社にて人事部門が廃止されたとの情報を拝見し、ご連絡差し上げました。
人事機能が他部門に移管される際には、業務の分散や属人化、社内手続きの混乱など、移行初期ならではの課題が発生されやすいと存じます。
弊社では、人事機能の再編・統合に伴う業務支援、クラウド化、BPO化など、体制変更に伴う効率化をご支援しております。
まずはご状況やご方針を10〜15分ほどお聞かせいただければ幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、ご都合のよいタイミングをご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
――
〇〇株式会社
△△(氏名)
TEL:xxx-xxx-xxxx
MAIL:xxx@xxx.co.jp
電話トーク
お忙しいところ恐れ入ります。私、〇〇株式会社の△△と申します。
御社にて人事部門が廃止され、他部門に人事機能が移管されていると伺い、ご連絡いたしました。
体制変更の初期は、業務の標準化や処理フローの整理などにお困りのケースも多く、
弊社では、人事業務の効率化やクラウド化、アウトソース支援などを通じて、スムーズな体制移行をご支援しております。
10〜15分程度、お話を伺えればと思うのですが、ご都合はいかがでしょうか?
訪問トーク
このたびは、御社の人事部門が再編され、新たな体制での運営が始まったと伺っております。
組織が変わることで、手続きやワークフロー、担当者の役割が複雑になっているタイミングではないかと拝察いたします。
当社では、人事業務の統一・効率化、システム化、業務BPOなど、再編後の運用体制づくりをサポートするサービスを多数ご提供しております。
本日は、他社の事例も交えながら、貴社のご状況に応じたご提案をさせていただければと思います。
ステップ3:行動アクション
- 人事部の廃止は “人事が要らない”のではなく、“人手が足りない”サイン。
- 営業の役割は、「誰が困っていて、何に困っているか」を見抜き、“最初の小さな支援”を届けることです。
- 山田太郎さんの“現在のポジション”を追う
- 廃止後、山田さんがどの部署に異動したのかを確認(例:経営企画部に異動、別部門のマネジメントに就任など)
- 異動先で人事に関連する課題を引き続き持っている可能性が高いため、提案先として有効
- 名刺交換済みなら、近況伺いの連絡が自然にできる
- 情報源:企業のニュースリリース/組織図/人事異動記事/LinkedInなど
まとめ:行動アクションの基本は「追う・探る・提案する」
「人事部の廃止」は、“人事の課題が解決した”のではなく、“これから人事を再設計しなければならない”状態。
営業はその“空白”をチャンスととらえ、適切な支援とタイミングで入り込むことが重要です
追う
- 廃止された人事部の機能がどの部門に移管されたか調査する(経営企画・総務・各事業部など)
- 元人事部長(例:山田太郎さん)の異動先や役職を確認
探る
- 電話や既存接点を通じて、現状の課題や方針をヒアリング
- 各部門での“人に関する困りごと”を仮説立てで想定
提案する
- 相手は「再構築の方向性に悩んでいる」可能性が高いため、スモールスタート提案が有効
- 「同じ状況で成果が出た実例」があると信頼されやすい
- 経営層・現場双方を意識した言葉選びと資料構成